ヒメニラ

ヒメニラ
福島県会津地方 2017年4月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
: ネギ属 Allium
: ヒメニラ A. monanthum
学名
Allium monanthum Maxim.[1]
和名
ヒメニラ(姫韮)[2]
ウィキメディア・コモンズには、ヒメニラに関連するメディアがあります。
ウィキスピーシーズにヒメニラに関する情報があります。

ヒメニラ(姫韮、学名:Allium monanthum)は、ヒガンバナ科ネギ属の繊細な多年草[3]。別名、ヒメアマナヒメビル[1]

草全体にニラに似た弱い臭いがある[2][4]。地上部は3 - 4月に出現し、約3週間で地上部の葉、花茎は枯れて姿を消す[3]、典型的なスプリング・エフェメラル

特徴

地下の鱗茎は球形で、長さ6 - 10ミリメートル(mm)になる。春に、花茎の基部から1 - 2個が根出状に出る。葉は、長さ10 - 20センチメートル(cm)、幅3 - 8 mmになり、線形から広線状倒披針形で、先端は鈍くとがり基部は次第に狭まり、9-13脈があり、断面は三日月形で中は中実、質は厚いがやわらかい[2][3][4][5]

花期は4 - 5月。長さ5 - 10 cmで細い花茎上に1個、ときに2 - 3個のを上向きにつける。花の基部に卵状膜質の総苞が1個あり、裂けない。花被片は離生し、外花被片が3個、内花被片が3個の計6個があって鐘形になり、白色または微紅色、長楕円形で長さ4 - 5 mmになる。雄株、雌株、両性株がある。雄花は、花被片の先端が鈍頭またはやや凹頭になり、雄蕊は6個あり、小型の雌蕊があるが結実しない。雌花は、花被片がやや鋭頭になり、雄蕊はなく、花柱の先は3裂する。花後、球形の蒴果となる。まれに両性花がみられる[2][3][4][5]

分布と生育環境

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し[3][4]、湿り気の多いやや傾斜した崖地、山野の湿地、田畑の土手などに生育する[5]。世界では朝鮮半島中国大陸(東北部)、ウスリーに分布する[3][5]

分布域はやや狭く、稀に見ることができる植物であるが、生育地での個体数はやや多い[5]。しかし、国(環境省)では絶滅危惧種としての選定はしていないものの、関東地方以西の17都県では、絶滅種あるいは広義の絶滅危惧種に指定している。

名前の由来

和名ヒメニラは、「姫韮」の意で、「小型のニラ(韮)」の意味である[4]

種小名(種形容語)monanthum は、「一花の」の意味[4]

利用

朝鮮料理によく用いられる。鱗茎ごと1本ずつていねいに掘り起こし、きれいに水洗いし、ひげ根をとり除いたものを、かき揚げの具や麺類の薬味にする。ニラより刺激性が強く、葉質が繊細で軟らかい。珍味とされる[5]

ギャラリー

  • 雄花。花被片の中の黄色いのは雄蕊の葯。
    雄花。花被片の中の黄色いのは雄蕊の葯。
  • 雌花。花被片の先に、わずかに白い花柱がみえる。
    雌花。花被片の先に、わずかに白い花柱がみえる。
  • 雌花。葉は花茎より長い。
    雌花。葉は花茎より長い。
  • 全姿。
    全姿。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b ヒメニラ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花)』p.425
  3. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 1』p.241
  4. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.853, p.1337
  5. ^ a b c d e f 『食べられる野生植物大事典(草本・木本・シダ)』p.89

参考文献

  • 林弥栄監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
  • 橋本郁三著『食べられる野生植物大事典(草本・木本・シダ)』、2007年、柏書房
  • 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』、2015年、平凡社
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  • 日本のレッドデータ検索システム
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