2006年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月3日に開幕した。アメリカンリーグの第37回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 37th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、10日から14日にかけて計4試合が開催された。その結果、デトロイト・タイガース(中地区)がオークランド・アスレチックス(西地区)を4勝0敗で下し、22年ぶり10回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのは、1972年のリーグ優勝決定戦以来34年ぶり2度目。この年のレギュラーシーズンでは両球団は9試合対戦し、タイガースが5勝4敗と勝ち越していた[2]。今シリーズはタイガースが初戦から3連勝したあと、第4戦をマグリオ・オルドニェスのサヨナラ本塁打で制し、負けなしの "スウィープ" でリーグ優勝を決めた。リーグ優勝決定戦での優勝決定サヨナラ本塁打は3年ぶり3度目[注 1][3]、7戦4勝制のリーグ優勝決定戦をスウィープ突破は11年ぶり4度目である[注 2][4]。シリーズMVPには、第2戦と第4戦で3安打ずつ放つなど、4試合で打率.529・2打点・OPS 1.167という成績を残したタイガースのプラシド・ポランコが選出された。しかしタイガースは、ワールドシリーズではナショナルリーグ王者セントルイス・カージナルスに1勝4敗で敗れ、22年ぶり5度目の優勝を逃した。
試合結果
2006年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月10日に開幕し、途中に移動日を挟んで5日間で4試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月10日(火) | 第1戦 | デトロイト・タイガース | 5-1 | オークランド・アスレチックス | マカフィー・コロシアム | |
10月11日(水) | 第2戦 | デトロイト・タイガース | 8-5 | オークランド・アスレチックス |
10月12日(木) | | 移動日 | |
10月13日(金) | 第3戦 | オークランド・アスレチックス | 0-3 | デトロイト・タイガース | コメリカ・パーク |
10月14日(土) | 第4戦 | オークランド・アスレチックス | 3-6x | デトロイト・タイガース |
優勝:デトロイト・タイガース(4勝0敗 / 22年ぶり10度目) |
第1戦 10月10日
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
デトロイト・タイガース | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 11 | 1 |
オークランド・アスレチックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 8 | 1 |
- 勝利:ネイト・ロバートソン(1勝)
- 敗戦:バリー・ジト(1敗)
- 本塁打
DET:ブランドン・インジ1号ソロ、イバン・ロドリゲス1号ソロ
- 審判
[球審]ジェリー・クロフォード
[塁審]一塁: ハンター・ウェンデルステット、二塁: デリル・カズンズ、三塁: チャック・メリウェザー
[外審]左翼: ゲイリー・シダーストロム、右翼: マイク・ライリー - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時20分 試合時間: 3時間20分 観客: 3万5655人 気温: 63°F(17.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第2戦 10月11日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
タイガースのプラシド・ポランコが初回表から3打席連続安打を記録(29秒) |
タイガース先発投手ジャスティン・バーランダーが5.1イニングで6三振を奪う(36秒) |
アスレチックスのミルトン・ブラッドリーが3回裏に2点本塁打、7回裏にソロ本塁打を放つ(1分16秒) |
第3戦 10月13日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
タイガースのプラシド・ポランコが初回裏に先制適時打、3回裏に二塁打を放つ(40秒) |
アスレチックスの二塁手マーク・カイガーが8回裏の守備から出場、レギュラーシーズン未経験でポストシーズンの試合に出場した史上初の選手となる(57秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
オークランド・アスレチックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
デトロイト・タイガース | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | X | 3 | 6 | 0 |
- 勝利:ケニー・ロジャース(1勝)
- セーブ:トッド・ジョーンズ(2S)
- 敗戦:リッチ・ハーデン(1敗)
- 本塁打
DET:クレイグ・モンロー1号ソロ - 審判
[球審]デリル・カズンズ
[塁審]一塁: チャック・メリウェザー、二塁: ゲイリー・シダーストロム、三塁: マイク・ライリー
[外審]左翼: ジェリー・クロフォード、右翼: ハンター・ウェンデルステット - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後4時31分 試合時間: 2時間57分 観客: 4万1669人 気温: 41°F(5°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
アスレチックスは8回表、一死一塁で9番・二塁ダンジェロ・ヒメネスの代打にボビー・キールティを送ったが、二ゴロ併殺に終わった。そしてその裏の守備で、キールティに代えてマーク・カイガーを二塁へ入れた。カイガーはレギュラーシーズンでの出場経験がなく、メジャー初出場をポストシーズンで経験した史上初の選手となった。本来は、8月31日までに所属球団の40人ロースター入りしていないカイガーのような選手には、ポストシーズンのロースター入り資格がない。しかし故障者の代役という名目であれば特例措置が認められ、正二塁手マーク・エリスが地区シリーズで右手人差し指を骨折していたため、カイガーに白羽の矢が立った[5]。
カイガーはこの回二死一塁、9番ラモン・サンティアゴの遊ゴロで遊撃手マルコ・スクータロからの送球を受けて一塁走者アレクシス・ゴメスをアウトにし、1刺殺を記録した。9回表に打順は回ってこず試合が終了し、アスレチックスは0-3で敗れた。翌日の第4戦でも、9回表にヒメネスの代打でキールティが登場→その裏からキールティに代わってカイガーが二塁守備に就く、という同じ流れがあったが、ここではカイガーに守備機会はなかった。シーズン終了後の12月にカイガーはアスレチックスを解雇され、翌2007年以降3年間は延べ3球団の傘下マイナーリーグでプレイしたものの、メジャー昇格の機会は得られなかった。2009年シーズン終了後、カイガーはメジャーのレギュラーシーズン出場を果たせぬまま引退を決めたため、結果的にはメジャーでの出場機会は今シリーズの2試合だけとなった[6]。
第4戦 10月14日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
5回裏、カーティス・グランダーソンの適時二塁打でタイガースが2点差に追い上げる(51秒) |
タイガースのマグリオ・オルドニェスが6回裏に同点ソロ本塁打、9回裏にリーグ優勝決定サヨナラ本塁打を放つ(2分47秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
オークランド・アスレチックス | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 8 | 1 |
デトロイト・タイガース | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 3x | 6 | 11 | 0 |
- 勝利:ウィル・レデズマ(1勝)
- 敗戦:ヒューストン・ストリート(1敗)
- 本塁打
OAK:ジェイ・ペイトン1号ソロ
DET:マグリオ・オルドニェス1号ソロ・2号3ラン - 審判
[球審]チャック・メリウェザー
[塁審]一塁: ゲイリー・シダーストロム、二塁: マイク・ライリー、三塁: ジェリー・クロフォード
[外審]左翼: ハンター・ウェンデルステット、右翼: デリル・カズンズ - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後4時30分 試合時間: 3時間23分 観客: 4万2967人 気温: 50°F(10°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
脚注
注釈
出典
- ^ Associated Press, "Crawford, Welke picked as LCS crew chiefs," ESPN.com, October 10, 2006. 2023年12月5日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年6月13日閲覧。
- ^ Roger Schlueter, "MLB Notebook: Ishikawa joins LCS icons / Giants hero just the fourth player since 1969 with pennant-winning homer," MLB.com, October 17, 2014. 2021年6月13日閲覧。
- ^ Daniel Kramer, "Every sweep in League Championship Series history / Nats just 2nd club to win pennant in 4 games then claim WS title," MLB.com, October 16, 2019. 2021年6月13日閲覧。
- ^ The Associated Press, "Kiger gets his first shot in big leagues," Gainesville Sun, October 14, 2006. 2021年6月13日閲覧。
- ^ Matt Rothenberg, "A DEBUT TO REMEMBER FOR RAÚL MONDESÍ," Baseball Hall of Fame. 2021年6月13日閲覧。
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、2006年のアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズに関連するカテゴリがあります。
- ESPN.com(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 2006 American League Championship Series - IMDb(英語)
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傘下マイナーチーム | - トレド・マッドヘンズ(AAA級)
- エリー・シーウルブズ(AA級)
- ウェストミシガン・ホワイトキャップス(High-A級)
- レイクランド・フライングタイガース(Low-A級)
- フロリダ・コンプレックスリーグ・タイガース(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・タイガース(Rookie級)
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オークランド・アスレチックス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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アスレチックス球団殿堂 | |
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リーグ優勝(15回) | |
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