気腫疽

気腫疽(きしゅそ、英:black leg)とは、気腫疽菌(学名:Clostridium chauvoei)による主にウシヒツジ感染症である。ウシ、スイギュウシカ、ヒツジ、ヤギブタイノシシにおける感染症は日本では家畜伝染病予防法における届出伝染病に指定されている。ヒトには感染しないとされていたが、2007年、気腫疽菌の感染による死亡が報告された。

病原体

病原体は偏性嫌気性、グラム陽性芽胞菌群のクロストリジウム属菌の1つである気腫疽菌である。運動性を有し、莢膜を持たず、血液寒天培地上でβ溶血を示す。世界中の土壌に分布していると考えられる。

症状

ウシでは創傷部位から感染後、1~5日の潜伏期間を経て、突然の発熱、元気消失、食欲廃絶、反芻停止などがみられ、大腿、肩などの筋肉の厚い部位に腫瘤を形成する。腫瘤は無痛性で冷感を示し、触診により捻髪音が聴かれる。四肢に腫瘤が形成されると運動機能障害による跛行を生ずる。経過は急速であり、2~3日で死亡にいたることが多い。

診断

ウシでは気腫疽が疑われた場合は、患部の筋肉、体表リンパ節、末梢血、頚静脈血の直接塗抹標本を作成し、菌体の存在を確認する。菌体の確認後、蛍光抗体法により特異蛍光が確認できればほぼ診断可能であるが、甚急性、急性に経過するため生前診断は困難である。類症鑑別が必要な疾患として、牛の炭疽悪性水腫、牛壊死性腸炎、亜硝酸塩中毒、出血性敗血症などがある。

治療

感染初期にペニシリンなどの抗生物質投与が行われているが、あまり有効ではない。

予防

気腫疽不活化ワクチンあるいは牛クロストリジウム感染症混合トキソイドが予防に用いられる。

関連項目

  • 土壌病

参考文献

  • 獣医学大辞典編集委員会編 『明快獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4-88500-610-4
  • 清水悠紀臣ほか 『動物の感染症』 近代出版 2002年 ISBN 4-87402-074-7

外部リンク

  • 家畜疾病総合情報システム:牛編 気腫疽
  • 農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)気腫疽の診断法
  • 農研機構 届出伝染病:気腫疽
家畜伝染病
言葉
組織・施設等
協定・法律等

SPS協定(世界貿易機関) - OIEコード(国際獣疫事務局) - 家畜伝染病予防法農水省) - 狂犬病予防法厚労省) - 口蹄疫対策特別措置法 - Category:畜産関連法規

 
世界の旗 国際獣疫事務局 リスト疾病
複数種
ウシ
ヒツジヤギ
ウマ
ブタ
トリ
ウサギ
ハチ

アカリンダニ症 - アメリカ腐蛆病 - ヨーロッパ腐蛆病 - スモール・ハイブ・ビートル症 - ミツバチトゲダニ症 - バロア症

魚類
軟体動物

Bonamia ostreae感染症 - Bonamia exitiosus感染症 - Marteilia refringens感染症 - Mikrocytos roughleyi感染症 - Perkinsus marinus感染症 - Perkinsus olseni感染症 - Xenohaliotis californiensis感染症

甲殻類

タウラ症候群 - 白点病 - イエローヘッド病 - バキュロウイルス・ペナエイによる感染症 - モノドン型バキュロウイルスによる感染症 - 伝染性皮下造血器壊死症 - ザリガニ病

その他
 
法定伝染病
届出伝染病

ブルータング - アカバネ病 - 悪性カタル熱 - チュウザン病 - ランピースキン病 - 牛ウイルス性下痢 - 牛伝染性鼻気管炎 - 牛伝染性リンパ腫 - アイノウイルス感染症 - イバラキ病 - 牛丘疹性口内炎 - 牛流行熱 - 類鼻疽 - 破傷風 - 気腫疽 - レプトスピラ症 - サルモネラ症 - 牛カンピロバクター症 - トリパノソーマ症 - トリコモナス症 - ネオスポラ症 - 牛バエ幼虫症 - ニパウイルス感染症 - 馬インフルエンザ - 馬ウイルス性動脈炎 - 馬鼻肺炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 馬痘 - 野兎病 - 馬伝染性子宮炎 - 馬パラチフス - 仮性皮疽 - 小反芻獣疫 - 伝染性膿疱性皮膚炎 - ナイロビ羊病 - 羊痘 - マエディ・ビスナ - 伝染性無乳症 - 流行性羊流産 - トキソプラズマ症 - 疥癬 - 山羊痘 - 山羊関節炎・脳炎 - 山羊伝染性胸膜肺炎 - オーエスキー病 - 伝染性胃腸炎 - 豚テシオウイルス性脳脊髄炎 - 豚繁殖・呼吸障害症候群 - 豚水疱疹 - 豚流行性下痢 - 萎縮性鼻炎 - 豚丹毒 - 豚赤痢 - 鳥インフルエンザ - 鶏痘 - マレック病 - 鶏伝染性気管支炎 - 鶏伝染性喉頭気管炎 - 伝染性ファブリキウス嚢病 - 鶏白血病 - 鳥結核 - 鳥マイコプラズマ症 - ロイコチトゾーン症 - あひるウイルス性肝炎 - あひるウイルス性腸炎 - 兎出血病 - 兎粘液腫 - バロア症 - チョーク病 - アカリンダニ症 - ノゼマ症


  • 表示
  • 編集
スタブアイコン

この項目は、獣医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(P:生物学/PJ:獣医学)。

  • 表示
  • 編集