夜摩天

夜摩天(やまてん、サンスクリット語: yāma、suyāma[1])は、仏教の世界観における欲界六欲天の第3の天である[1][2][3]。耶摩天とも記され[2]、焔天[1]、炎天[2][3]、夜摩とも呼ばれる[2]

概要

仏教の世界観では、衆生[注 1]煩悩から脱せず輪廻を繰り返す世界全体を欲界色界無色界三界(さんがい)としている[5][6]。そのうちの欲界は、性欲や食欲などの欲望を持つ衆生が住む領域であり[6]、地獄・餓鬼畜生修羅・天の6種の領域(六道。六趣とも)からなるとされる[注 2][6]。欲界の天を六欲天[注 3]といい[8]、その3番目の天が夜摩天である[1][2][3]

夜摩天の名前の由来は、立世阿毘曇論によると「日夜時節分分度時に是の如きの言を説く、咄なる哉、不可思議の歓楽や、と。故に夜摩[注 4]と名づく」とされる[1]

須弥山[注 5]の上空、人の住む大陸から16万由旬[1]、須弥山山頂から8万由旬の空中にあり[10]光明にあふれ[1][2]、昼夜がなく[2]、歓楽を受ける世界とされる[1][2][3]。また、夜摩天の1日は人間界の200年にあたるとされる[1][2][3]

夜摩天に棲む神々は、身長は1由旬[1]、寿命は夜摩天の時の流れの速さ(1日が人間界の200年)で2000年とされる[1][3]

脚注

注釈

  1. ^ 有情とも言い、生きとし生けるもので感情や意識をもつもの[4]
  2. ^ 修羅を除いた5種の領域(五道。五趣とも)とする考え方もある[5]
  3. ^ 下から四大王衆天三十三天・夜摩天・覩史多天楽変化天他化自在天の6種の天より構成される[7]
  4. ^ web版 新纂 浄土宗大辞典によると「サンスクリット語のyāmaには、一日の時間を分割したうちの一分の意味がある」[1]
  5. ^ 仏教でも取り入れられた古代インドの世界観で世界の中心にあるとされる想像上の高山[9]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l “夜摩天”. Web版 新纂 浄土宗大辞典. 浄土宗 (2018年3月30日). 2020年12月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i "夜摩天・耶摩天". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2020年12月17日閲覧
  3. ^ a b c d e f "夜摩天". デジタル大辞泉. コトバンクより2020年12月17日閲覧
  4. ^ “衆生”. Web版 新纂 浄土宗大辞典. 浄土宗 (2018年3月30日). 2020年12月17日閲覧。
  5. ^ a b “三界”. Web版 新纂 浄土宗大辞典. 浄土宗 (2018年3月30日). 2020年12月17日閲覧。
  6. ^ a b c “三界”. コトバンク. 2020年12月17日閲覧。
  7. ^ “六欲天”. Web版 新纂 浄土宗大辞典. 浄土宗 (2018年3月30日). 2020年12月17日閲覧。
  8. ^ “六欲天”. コトバンク. 2020年12月17日閲覧。
  9. ^ “須弥山”. Web版 新纂 浄土宗大辞典. 浄土宗. 2020年12月18日閲覧。
  10. ^ “教学用語検索>六欲天”. 創価学会. 2020年12月18日閲覧。

関連項目

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