ブラバム・BT54

ブラバム・BT54
カテゴリー F1
コンストラクター ブラバム
デザイナー ゴードン・マレー
先代 ブラバム・BT53
後継 ブラバム・BT55
主要諸元[1]
シャシー カーボンファイバー モノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン, プッシュロッド コイルスプリング ダンパー
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン, プッシュロッド コイルスプリング ダンパー
エンジン BMW M12/13, 1,499 cc (91.5 cu in), 直列4気筒, t/c, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ブラバム / ヒューランド製 6速 MT
燃料 カストロール
タイヤ ピレリ
主要成績
チーム モーターレーシング・ディベロップメント
ドライバー 7. ブラジルの旗 ネルソン・ピケ
8. フランスの旗 フランソワ・エスノー
8. スイスの旗 マルク・スレール
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
初戦 1985年ブラジルグランプリ
出走優勝表彰台ポールFラップ
161210
テンプレートを表示

ブラバム・BT54 (Brabham BT54) は、ブラバム1985年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。設計者はゴードン・マレー

概要

BT52からBT53までとほぼ同じくカーボンファイバーおよびアルミハニカムで作られたモノコックを使用しつつ、主に空力面の開発を進めたマシンである。ラジエーターインタークーラーは縦置きになり、ドライバーが足を火傷する危険性のあったノーズのオイルクーラーは再びリアに収められた。サイドポンツーンは前後に長く、ライバルよりも幅の狭いものだった。ラジエーターを通った空気の排熱口もサイドポンツーンの上面ではなく後端で、この点も他チームのマシンとは異なっていた。

エンジンは引き続きBMW・M12/13直4ターボエンジンを搭載する。ターボチャージャーは前年に使用したKKK製から、1983年以前に使用していたギャレット・エアリサーチ製に戻され[2]、予選では5.4バールものハイブーストをかけた。これにより、ピークパワーでは1300馬力以上とも言われる未曾有の超ハイパワーを発揮するようになった。フランスグランプリの予選では338km/hという驚異的なトップスピードを記録した。しかし、究極のどっかんターボといえるこのエンジンによって、ドライバビリティはさらに悪化した。ターボラグはもはやドライビングでカバーできないほど大きくなり、コーナーの立ち上がりでスロットルを踏み込むタイミングを少しでも外すとスピンしてしまう有様だった。第5戦カナダグランプリからはダウンフォースを補うためにサイドポンツーン後端にウイングレットが追加されたが、あまり効果は見られなかった。

ミシュランの撤退に伴い、タイヤサプライヤーをピレリに変更した。しかし、グッドイヤーに比べてパフォーマンスで劣り、これもドライバビリティ悪化の要因だった。猛暑の第7戦フランスGPでは奇跡的にピレリタイヤが性能を発揮しピケが待望の1勝を挙げたが、結局これが唯一の勝利となった。ゴードン・マレーはこのタイヤ変更について、最初のテストで「ストレートを通過するクルマのホイールリムが路面に触れんばかりになっていた。ダウンフォースに耐えられず、タイヤが完全に押し潰されていた」ことが判明したため「ピレリはタイヤを設計し直さなければならなかった」と語っているほか、「バーニー(・エクレストン)はいつも重要なファクターを良くない方にばかり変えていた」「どうにかターボを元に戻したと思ったら、次はまったく知らないタイヤ会社というわけだ。」とチーム運営に対して不満を述べている[2]

エースドライバーのネルソン・ピケは悪化したドライバビリティに苦しみ、前年度は絶好調だった予選でもしばしばライバルの先行を許した。また、相変わらずのBMWエンジンの信頼性の低さもあって、完走は前年度と同じ7回にとどまった。シーズン終了後、マシンの遅さと年俸の低さに我慢できなくなったピケはウィリアムズに移籍してしまった。 セカンドドライバーはフランソワ・エスノーが起用されたが、モナコGPでの予選落ちの後解雇された。後任はマルク・スレールが起用されコンスタントに完走を重ねたが、入賞は3回のみだった。

1986年はニューマシンBT55が問題を抱えたため、第9戦イギリスGPリカルド・パトレーゼがBT54をドライブした。

スペック

シャーシ

  • シャーシ名 BT54
  • ホイール モモ
  • タイヤ ピレリ

エンジン

  • エンジン名 BMW M12/13
  • 気筒数 直列4気筒ターボ
  • 最大馬力 850馬力
ネルソン・ピケがドライブするBT54
BT54

F1における全成績

(key) (太字ポールポジション斜体ファステストラップ

チーム エンジン タイヤ No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント 順位
1985年 ブラバム BMW M12/13
S4 t/c
P BRA
ブラジルの旗
POR
ポルトガルの旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
DET
アメリカ合衆国の旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
AUT
オーストリアの旗
NED
オランダの旗
ITA
イタリアの旗
BEL
ベルギーの旗
EUR
イギリスの旗
RSA
南アフリカの旗
AUS
オーストラリアの旗
26 5位
7 ブラジルの旗 ピケ Ret Ret 8 Ret Ret 6 1 4 Ret Ret 8 2 5 Ret Ret Ret
8 フランスの旗 エスノー Ret Ret Ret DNQ
スイスの旗 スレール 15 8 8 6 Ret 6 10 4 8 Ret Ret Ret

[3]

参照

ウィキメディア・コモンズには、ブラバム・BT54に関連するカテゴリがあります。
  1. ^ “STATS F1 - Brabham BT54”. Statsf1.com. 2010年8月23日閲覧。
  2. ^ a b 「トラブル続きでどうしようもなかった」ゴードン・マレーが語る“ラジカルすぎた失敗作”ブラバムBT55 - オートスポーツ・2021年10月9日
  3. ^ “1985 Brabham team results”. FIA / Formula One Administration. 2010年3月9日閲覧。
イギリスの旗 ブラバム
創設者
主なチーム関係者
主なドライバー
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
太字はブラバムにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。
F1車両 (世界選手権)
F1車両 (タスマンシリーズ)
主なスポンサー
  • F1以外の車両
F5000
  • BT43(英語版)
F2
F3
  • BT9
  • BT15(英語版)
  • BT16A
  • BT18A
  • BT21(英語版)
  • BT21B(英語版)
  • BT21X(英語版)
  • BT28
  • BT35C
  • BT38C
  • BT41
インディカー
  • BT12(英語版)
  • BT25(英語版)
  • BT32(英語版)
フォーミュラ・アトランティック
  • フォーミュラ・B: BT21A(英語版)
  • BT21C(英語版)
  • BT23F
  • BT23G
  • BT29 / フォーミュラ・アトランティック: BT35A
  • BT35B
  • BT38B
  • BT40
フォーミュラ・ジュニア
  • BT1
  • BT2(英語版)
  • BT6
ヒルクライム用シングルシーター
  • BT30X(英語版)
  • BT35X
  • BT36X(英語版)
その他のシングルシーター
  • BT14(英語版)
  • BT18B
レーシングスポーツカー
  • BT5(英語版)
  • BT8(英語版)
  • BT17(英語版)
  • BT63 GT2(英語版)
ツーリングカーレース用
  • BT57 (アルファロメオ・164 プロカー4)
サーキット走行専用車
  • BT62(英語版)
  • 表示
  • 編集